着床前ゲノム検査
受精後の胚には様々な染色体異常が生じていることがあり、着床不全や流産と関連すると言われています。
着床前ゲノム検査は、体外受精や顕微授精後の胚の染色体や遺伝子を、着床前(胚移植前)に評価する検査です。
体外受精や顕微授精の過程で得られた受精卵(胚)から、一部の細胞を採取し、染色体や遺伝子の異常の有無を調べます。
弊社では、以下の検査サービスを提供しています。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)
流産リスクを減らすために、 体外受精後の胚の各染色体における本数の異常、染色体異数性の有無を調べる検査です。
卵子や精子の形成過程や胚の発生段階において生じ、着床不全や流産の原因の一つと考えられる染色体異数性を判別します。
PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)
両親の均衡型染色体構造異常に由来する習慣流産(反復流産を含む)を防ぐために、 胚の不均衡型染色体構造異常の有無を推定する検査です。
倍数性解析
SNVジェノタイピング法を用いて、染色体全体の倍数性を調べる解析です。流産の原因となる染色体異常のうち約13%を占める三倍体胚を検出することができます。
また、これまで移植に適していないとされてきた1-PNや2.1-PNなどの異常受精胚を解析することで、正倍数性の胚を同定することができます。
※弊社の着床前ゲノム検査では倍数性解析も標準仕様で実施いたします。
PGT-Aは何をする検査ですか?
PGT-Aは、胚の染色体が2本ずつある正常な正倍数体(Euploid)であるかどうかを判定します。
卵子・精子を形成する際の減数分裂時、あるいは、胚の細胞が増殖する際の有糸分裂時に、正しい数の染色体が正しく分配されないことにより染色体の本数の異常、異数性(Aneuploidy)が起きてしまいます。
特に女性の年齢が高くなるほど、染色体を正しく分配する機能が弱まり、卵子に異数性が増えていくことが知られています。
これは年齢によるものですので、誰にでも起こる現象です。
日本の初婚平均である30歳の時点であっても、平均25%の卵子に異数性が生じています。
ところが、35歳を超えてから異数性の割合は急激に増え、35歳では35%、40歳では58%、42歳では75%の卵子に異数性が生じている可能性があります (Franasiak, 2014)。
PGT-SRは何をする検査ですか?
PGT-SRは、転座に由来する染色体の異数性を調べ、不均衡型転座の有無を推定します。
染色体の相互転座は、染色体の組換え時に、本来は対となる相同染色体同士で組換えが行われるところ、複数の非相同染色体が切り離されたり、再構成した染色体断片を相互に交換するといった切断あるいは組換えが起きたことにより生じます。
染色体のコピー数には変化のない均衡型相互転座は、臨床的な特徴がないため気が付きにくく、およそ500人に1人が持っていると言われています。
また、13番、14番、15番、21番、22番の端部着糸型染色体同士の転座はRobertson型転座と呼ばれ、およそ1,000人に1人が持っています。
これら転座の保因者は、不均衡型の配偶子を形成し、流死産をおこしたり、まれに重篤な合併症をもった児を出生することがあります。
PGT-SRでは、ご両親の染色体構造異常の有無の情報が必要となります。
倍数性解析は何をする解析ですか?
倍数性解析は、SNVジェノタイピング法を用いて、染色体全体の倍数性を調べる解析です。
各染色体が3本ずつある三倍体(Triploid)、各染色体が1本しかない一倍体(Haploid)、あるいは、2本ある染色体の両方ともが片親の1本の染色体に由来する片親性イソダイソミー(UPiD)であることを推定します。
流産の原因となる染色体異常のうち約13%を占める三倍体胚を検出できるため、解析することにより妊娠成功率の向上が期待されます。
また、これまで移植に適していないとされてきた1-PNや2.1-PNなどの異常受精胚を解析することで、正倍体の胚を同定することができます。
異常受精胚とされている1-PN胚の約69%、2.1-PN胚の約85%は、移植可能な正倍体であることが報告されております(Capalbo, 2017)。
誰が検査を受けられますか?
2020年から開始した「日本産科婦人科学会PGT-A特別臨床研究」における検査対象者が検査を受けられます。
本臨床研究での検査対象となる方は、以下のとおりです。
弊社は、日本産科婦人科学会により認定された医療機関より依頼を受け、検査を行います。
詳細は医療機関にお問い合わせください。
どのような結果が得られますか?
検査には、受精後5日目の胚盤胞の栄養外胚葉細胞(TE)を生検して得られた数細胞が必要となります。
細胞由来のヒトDNAを全ゲノム増幅し、各染色体が2本ずつの正倍数体(Euploid)を基準として、染色体の本数の増減を調べます。
検査結果によっては、モザイク(Mosaic)胚が検出される場合があります。
モザイクとは、TE生検によって採取した細胞塊に、染色体異数性を持たない細胞と染色体異数性を持つ細胞が混ざっている状態です。
モザイクは胎児の発達に従って消失する場合もありますが、不妊、反復着床不全の原因となったり、先天異常、知的障害、発達障害のある児を出生するリスクがあります。
どのような限界がありますか?
PGT-A判定の誤判定率は約5〜15%と報告されています。
各染色体が3本ずつある三倍体(Triploid)や、4本ずつある四倍体(Tetraploid)は、反復流産患者の染色体異常の約15%を占めてますが、従来のPGT-Aでは検出できません。
ただし、PGT-Aと倍数性解析を併用することで、倍数体を検出することが可能となります。(Capalbo, 2017)。
PGT-SRでは、染色体のコピー数には変化のない均衡型相互転座や、一部の染色体構造異常は調べることができません。
胚生検の状態などによって正しい結果が得られないことがあります。
また、異常な所見がない場合においても、すべての異常を否定できません。
胚生検時の胚への損傷が、着床不全、流産などの原因となったり、児に与える影響は現在分かっていません。
また、反復流産患者の約25 %は胎児染色体に異常のない流産といわれています。
検査によりEuploidと判定されても、着床不全や流産の可能性を完全には否定できません。
参考文献
医療機関の皆様へ
医療関係者向け情報は下記のサイトからご覧いただけます。
検査をご希望の方へ
着床前ゲノム検査の受診
着床前ゲノム検査は、特別臨床研究参加医療機関の受診が必要です。
また、日本産科婦人科学会の提示する条件に当てはまる方が対象となります。
希望されてもご参加できない場合があります。詳細は医療機関にお問い合わせください。
弊社検査を実施可能な医療機関は以下のとおりです(公開を希望されない施設は掲載しておりません)。
北海道
宮城県
東京都
山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター
東京都港区赤坂 8-10-16
03-3402-3151
https://www.sannoclc.or.jp/hospital/patient/department/repro/index.html
神奈川県
千葉県
愛知県
ARTクリニックみらい
愛知県岡崎市大樹寺2-2-2
0564-24-9293
おち夢クリニック名古屋
愛知県名古屋市中区丸の内3-19-12 久屋パークサイドビル8階
052-968-2203
兵庫県
和歌山県
広島県
IVFクリニックひろしま
広島県広島市南区松原町5-1 BIG FRONTひろしま4F
082-264-1131
絹谷産婦人科
広島県広島市中区本通8-23本通ヒルズ4階
082-247-6399
広島HARTクリニック
広島県広島市南区松原町3-1-301
082-567-3866
福岡県
医療法人アイブイエフ詠田クリニック
福岡市中央区天神1-12-1日の出福岡ビル6階
092-735-6655
医療法人蔵本ウイメンズクリニック
福岡市博多区博多駅東1-1-19
092-482-5558
セントマザー産婦人科医院
北九州市八幡西区折尾4丁目9番12号
093-601-2000
鹿児島県
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